「熊工は断トツで大きな存在である」 友喜力①

企画・編集・構成を担当させていただきました、
九州学院・硬式野球部の前監督、坂井宏安さんの著書「友喜力」が発売されております。

自分のことならすぐに諦めてしまうかもしれないが、自分を支えてくれる仲間や家族のためなら、
最後まで頑張り通すことができる。
それが、坂井前監督が考案した「友喜力」です。

この本は、現在行なわれているWBCで侍ジャパンの4番を打っている、
史上最年少三冠王の村上宗隆選手(東京ヤクルト)から推薦をいただきました。
力強いオビの文言。村上選手、恩師のためにありがとうございました!


今日から3回にわたって、本文中から印象的なフレーズを抽出してご紹介します。


「日本体育大で寮長という大役を仰せつかり、その時に始めたのが、上級生によるトイレ掃除である」

「現在も生徒を叱る時には、あえて敬語や標準語を使うようにしている。生徒を叱る時は、こちらが冷静でなければならない。それはコーチをしていた銚子商の生徒から学んだことでもある」

「野球の指導者は自分の学校のことだけしか考えていない人がほとんどだ。他競技の指導者は国体を意識しているぶん、県全体のレベルアップを考えている。野球にそうした体質がないのは非常に残念で、もったいなくも感じている」

「私がどれだけ頑張ったところで、熊工の伝統には一生勝てない。熊工は断トツで大きな存在である」

「鍛治舍巧さんが熊本にいた時代は、本当に面白かった。鍛治舍さんと秀岳館のおかげで、熊本のレベルが上がっていたのは事実」

「“怒る”と“叱る”は絶対に必要。これがなければ、怒られたり叱られたりした経験のない子が大人になり、加減を知らないまま次世代を育てていくことになる。教わっていないことを教えるのは、非常に危険なことだ」

「まだ高校でワンプレーも行なっていない中学生に対して『君をプロに送るから』とか『関東の大学に出すから』と言うこと自体が無責任だ。大の大人が15歳の子を騙して獲るようなことは、恥ずべき行為であり、絶対にやってはいけないことだ」

「野球はチームプレーを前提とする団体競技ではあるが、実際のところは個人技の集合体である」

「社会人になれば、常に競争に晒されている。しかし、教育課程で『戦うことは良くないこと』と言ってしまったら、日本人は敗者の集まりになってしまうだろう」

「最後の夏に敗れてグラウンドで涙を流す選手たちがいる。しかし、私は『九学のグラウンドに帰ってから泣け』と言っている。彼らは負けて泣くことがないように、毎日の練習できつい思いをして涙を流している。自分たちのグラウンドとは、選手たちが唯一泣いていい場所で、唯一恥をかいていい場所、唯一みっともない姿を晒してもいい場所なのだ」

「試合に出ている選手がベンチに座り、出ていない控えの子がグラウンド整備をする。あるいは3年生が休憩し、1年生が整備をする。こんな理不尽なことはない。一般社会でも、一番働き盛りの人たちが仕事をせず、仕事のやり方を知らない新入社員ばかりに働かせているような組織では、業績が上がるはずもない」

「練習が終わったら、日本一早く帰るチームになろう。10分で撤収!」

「長時間のミーティングを行なう人も多いと思う。あれは指導者の自己満足以外に、大した意味はないと思う」

「練習やミーティングでは、生徒に満腹感を抱かせることがないよう注意してきた。あえて物足りなさを残しておくことで、彼らは自発的に考え、動くようになる。“物足りなさ=余力”なのだ」

「最近は遠征先の食事もほとんどがバイキング形式だ。生徒が食事を用意して『監督さん、どうぞ』と持ってくるなんて、言語道断。自分が食べたいものは自分が一番よく分かっている。そして『自分のことは自分でやりなさい』と教育している高校野球の世界では、まずやるべきではない」

「ベストを尽くすだけではダメなのだ。ベストとは、常に超えていかなければならないものである。つまり『ベストを尽くす』は、自分の限界を設定するようなものだ」

「近年は全国の強豪校の練習視察や、甲子園優勝監督の講演会に若手指導者が派遣され、その研修成果を発表することが増えている。しかし『今年のウチには柵越えを打てる選手が何人いて……』、『ウチは160キロのマシンを打っています』と言われたところで、同じ練習ができる学校が果たして全国にいくつあるというのか」

「プロのコーチでも『走り込みはいけない』、『投げなくていい』と言っている人が増えてきた。たしかにプロの世界を極めるだけの能力を持った選手なら、それでいいのかもしれない。ただ、そう言っている人たちも、アマチュア時代は走り込みや投げ込みをしながら、その地位を築いてきたのではなかったか。そして、これから一流を極めたいという選手であれば、なおさら人より多く走り、投げていかなければ人からは認めてもらえないのではないか」

つづく

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